○花崎委員
ただいま、医療政策局長から御報告をいただきました「北海道地域医療再生計画(平成24年度国補正予算)Jについてでありますが、この平成24年度の国の補正予
算で措置された総額は500億円であり、全国からの要望額は約700億円と約200億円をオーバーしている中、道に対しては、要望額が上限の15億円でありましたが、内示額は10億円ということであります。
道では、医師確保対策事業、災害時医療体制確保事業及び在宅医療連携推進事業を主として、特に医師確保対策事業を優先し、内示額に応じた各事業の計画内容の一部を見直し、基金所要額を修正したとのことであります。
道民が安心して住みなれた地域で暮らすためには、地域医療の確保は大変重要であり、地域の医療課題解決に陶けて、基金などを活用して積極的に取り組んでいくべきと考えているところであります。
そこで、ただいまの報告に関連して、何点か質問させていただきます。
初めに、在宅医療についてですが、改定した北海道医療計画においても、5疾病5事業と同格に位置づけられ、これからの高齢社会においても大変重要で充実強化が求められており、このたびの再生計画で新たに事業を計画したと承知しているところです。
そこで、道では今後再生計画において、在宅医療対策にどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いいたします。

○三井委員長
医療薬務課長深山英寿君。

○深山医療薬務課長
在宅医療対策についてでござ、いますが、道では、在宅医療を進める上で、患者や家族の方々の質の高い生活を支えるためには、医師や看護師、介護職などさまざまな専門職がチームで対応することが求められており、担い手の育成と連携体制の構築が重要であると認識しているところでございます。
このため、このたびの地域医療再生計画におきましては、地域において在宅医療を推進するリーダーを養成するとともに、さまざまな職種の従事者がお互いの役割や活動を学び、顔の見える関係づくりを目指す多職種の合同研修を実施するほか、2次医療圏ごどに、保健、医療、福祉の関係者で構成する協議会を設置し、在宅医療を進める上での課題の解決に向けた検討や情報共有を通じて、それぞれの専門性を生かしたチームとしての活動の充実を目指すこととしているところでございます。
道といたしましては、こうした事業を通して、退院支援から日常の療養支援、急変時の対応、みとりまで継続して医療が提供できる体制づくりに取り組んでまいる考えでございます。

○花崎委員
このたびの地域医療再生計画の中で、医師確保対策は10億円のうち約7億8000万円を重点化しております。
このたびの再生計画において、医師確保対策について、道ではどのような取り組みを行う考えなのか、お伺いします。

○三井委員長
地域医師確保推進室参事溢谷文代君。

○溢谷地域医師確保推進室参事
医師確保対策に対する取り組みについてでございますが、道においては、これまで地域医療再生基金を活用し、医育大学の地域枠学生を対象に地域の医療機関に一定期間勤務することを条件とした修学資金の貸し付けや、医育大学への寄附講座の設置を初め、総合内科医の養成、女性医師等の勤務環境の改善などの中長期的な対策に取り組むとともに、即効性のある対策として、地域の中核的病院に対する大学病院からの指導医の派遣や、都市部の病院からの脳神経外科、麻酔科などの専門医の派遣に取り組んできたところでございます。
しかしながら、地域の医療機関におきましては、中核的病院を含め、依然として深刻な医師不足の状況にありますことから、このたびの地域医療再生計画におきましては、医育大学や医療機関などの御協力をいただきながら、これまで実施してきた事業のうち、地域医療を担う医師を養成する医師養成確保修学資金等貸付事業や寄附講座設置事業、地域に必要な指導医や専門医を派遣する地域医療指導医派遣システム推進事業、専門医派遣システム推進事業を継続して、重点的に実施する考えでございます。

○花崎委員
先月末に新聞報道もありましたが、知事は記者会見において、道立江差病院の分娩を来年3月から再開し、平成25年8月5日から予約受け付けを開始することを昨日発表されました。南檎山地域においては、お産をするために函館まで時間をかけて行かなければならず、現在妊娠されている人を初め、地域の方々は大変喜んでいるとお聞きしています。
このことは、南檎山地域の再生計画に盛り込まれている周産期環境研究講座の成果であると捉えております。
このたびの地域医療再生計画にも盛り込まれているこの寄附講座では、どのようなことに取り組んでいく考えなのか、お伺いいたします。

○三井委員長
道立病院室長黒田敏之君。

○黒田道立病院室長
周産期環境研究に関する寄附講座についてでございますが、道では、平成22年1月に策定をいたしました南櫓山地域医療再生計画に基づきまして、圏域における分娩再開などの地域課題の解決を目指し、札幌医科大学に寄附講座を設置しているところでございます。
この講座では、平成22年9月から平成26年3月までを設置期間といたしまして、産婦人科医や助産師などのコメデイカルの養成を初め、産婦人科医と麻酔科医の連携や地域における安全な分娩を行うための方法の研究などに取り組んできておりまして、このたびの道立江差病院における分娩の再開に結びついたところでございます。
しかしながら、本道の医師や看護職などの不足は、依然として深刻な状況にありますことから、道では、このたびの再生計画におきまして寄附講座の設置期間を延長し、これまでの取り組みをさらに進めることによりまして、南檎山圏域における分娩体制のより安定的な確保を期してまいる考えでございます。

○花崎委員
最後の質問になりますが、このたびの計画は10億円でありますが、既に平成21年度及び平成22年度の国の補正予算で、全道域と各圏域ごとに基金事業が行われております。
地域医療の現状を考えますと、医師の不足や地域偏在の解消、災害時の医療体制の確保、さらには、在宅医療の推進などさまざまな課題を抱えておりますが、道では今後、この基金の活用も含めて、どのように地域医療の再生に取り組んでいく考えなのかお伺いしまして、最後の質問を終わります。

○三井委員長
保健福祉部長高田久君。

○高田保健福祉部長
今後の地域医療の再生の取り組みについてでございますが、本道では、急速に少子高齢化が進行し、人口の都市部への集中や過疎化が進む中、道民の医療ニーズは高まってきておりますが、医師や看護師などの不足や地域偏在により、地域の中核的な医療機関におきましでも一部の診療科が閉鎖されるなど、地域医療は深刻な状況にあり、医師確保対策の一層の推進を初め、災害時対応を含めた救急医療や在宅医療の充実など、医療提供体制の整備が求められていると認識をいたしているところでございます。
このため、道といたしましては、このたびの地域医療再生基金も活用いたしまして、山積みする地域の医療課題の解決に向けて、医育大学の地域枠学生への修学資金の貸し付けなどの医師確保対策に重点的に取り組みますほか、災害拠点病院の機能強化などの災害時医療対策、在宅医療を担う人材育成や、多職種による連携体制の構築などの在宅医療対策などに取り組みまして、道民誰もが住みなれた地域で、安全安心に暮らし続けることができるよう、地域医療の充実に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○花崎委員
ただいま、平成24年度における歯・口腔の健康づくりに係る施策の推進状況について報告がありましたので、関連して何点か質問させていただきます。
北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例は、平成21年の道議会において我が会派が提案し、制定されたところですが、提案の大きな動機になったこととして、本道の子どもたちは全国平均と比べ虫歯が大変多い状況にあるということがございました。
虫歯を確実に減少させるためには、新潟県や佐賀県を初め全国各地で成果を上げていた実績があるものの、本道では普及がおくれていたフッ化物洗口の推進が不可欠と考え、条例第11 条には道におけるフッ化物洗口普及の支援という役割が規定されたわけであります。
先ほどの報告では、条例制定時に30 に満たなかった実施市町村が、144市町村になったとありました。
では、子どもたちの虫歯の状況はどうなったのか伺います。
永久歯が生えそろう時期である12歳の虫歯本数は、当該地域の虫歯の流行状況を端的にあらわす指標となっていますが、直近5年間の北海道の状況をお伺いします。

○三井委員長
地域保健課長江上洋行君。

○江上地域保健課長
虫歯の本数についてでございますが、国が実施している学校保健統計調査によると、本道における12歳児のl人当たりの平均虫歯本数は、ここ5年間では平成20年が2.2本、平成21年が2.0本、平成22年が2.3本、平成23年が1.8本、平成24年が1.5本となっているところでございます。

○花崎委員
平成21年の2.0本から平成22年に2.3本へと増加していますが、以降は平成23年が1.8本、平成24年が1.5本とようやく減少する兆しが出てきているところでございます。
しかし、2期目の計画の目標値は1.0本以下となっておりますので、まだまだ改善の余地は大きいと思います。
フッ化物洗口は、就学前の保育所や幼稚園の時期から開始し、中学校卒業まで10年程度継続することで最大の効果が得られると伺っており、したがってフッ化物洗口の効果が道全体の12歳児の虫歯数に反映されるには、まだしばらく時間を要すると考えられます。
今後、フッ化物洗口の普及とともに、この指標が徐々に改善していくことを期待しております。
十分な効果を得るには、保育所や幼稚園から中学校卒業まで、継続して実施する必要があることを指摘させていただきましたが、次にフッ化物洗口の実施状況について、先ほどの報告では、平成24年度末では144市町村で実施との説明がありましたが、保育所や幼稚園、小学校及び中学校それぞれの施設類型別の実施市町村数と、市町村内の全ての保育所や幼稚園、小学校及び中学校で実施している市町村数をお伺いいたします。

○江上地域保健課長
フッ化物洗口の実施状況についてでありますが、道では、道教委や歯科医師会と連携して、フッ化物洗口の普及に取り組んできたところであり、本年3月末現在において実施している144市町村の施設類型別の内訳につきましては、保育所または幼稚園での実施が133市町村、小学校での実施が76市町村、中学校での実施が20市町村となっているところでございます。
また、市町村内全ての保育所や幼稚園、小学校及び中学校で実施しているのは、12町村となっているところでございます。

○花崎委員
昨年の第4固定例会の予算特別委員会において、我が会派が質問をさせていただいた際には、昨年の11月末で、保育所または幼稚園での実施が104市町村、小学校での実施が50市町村、中学校での実施が12市町村ということでありました。
小学校で実施しているところがある市町村は、昨年度の後半だけで26増加したことになります。
就学後にもフッ化物洗口を実施している地域がふえてきていることは、よい方向へ向かっていると言えます。
しかしながら、市町村内の全ての保育所や幼稚園、小学校及び中学校で実施している市町村数は12ということですのでとても十分とは言えません。
各市町村において、保育所や幼稚園から、小中学校を通じ、フッ化物洗口が継続して実施されるよう、道においては引き続き道教委と緊密に連携し、手綱を緩めることなく、関係者に対する積極的な働きかけや支援に努めていただくことを改めてお願いしておきます。
次に、これも重点施策のーっとなっております、障がい者の歯科医療に関連して質問させていただきます。
障がい者が歯科を受診する場合、障がいの特性や程度によっては、本人が治療の必要性を理解できないことが少なくなく、歯科医療従事者は治療に必要な協力が得られないことがあり、また、言語によるコミュニケーションがとりにくいこともあることなどから、障がい者が歯科医療機関を受診する場合、通常は特別な配慮が不可欠であります。
こうした背景から、道では平成17年度から障がい者歯科医療協力医制度を立ち上げ、先ほどの説明では、現在、全道で284名の協力医を指定しているとのことでありました。
そこで協力医の指定要件についてでありますが、障がい者歯科医療協力医として新規に指定を受けるための要件と指定更新のための要件はどのようになっているのかお伺いします。

○三井委員長
地域保健課医療参事佐々木健君。

○佐々木地域保健課医療参事
指定要件についてでありますが、障がい者歯科医療協力医は、地域における障がいのある方のかかりつけ歯科医として、歯科健診、歯科保健指導・相談、予防処置、治療等に対応するものでありまして、5年を有効期間として、北海道知事が北海道歯科医師会長とともに指定するものでございます。
この協力医として、新規に指定を受けるためには、北海道障がい者歯科医療協力医制度実地研修を受講するとともに、10人以上かつ延べ20回以上の障がいのある方への歯科診療の実績があることを要件としているところでありまして、また、指定の更新につきましては、5年間に2回以上の更新研修の受講と、延べ50回以上の歯科診療実績があることを要件としているところでございます。

○花崎委員
障がい者歯科医療協力医として新規に指定を受けるために、実地研修を修了することが要件となっているという御答弁でありましたが、どのような研修を行っているのかお伺いします。

○佐々木地域保健課医療参事
実地研修についてでありますが、新規指定に向けた障がい者歯科医療協力医制度実地研修は、講義や演習及び実習で構成されているところでございます。
このうち講義や演習につきましては、歯科診療所で対応する機会の多い障がいの特性や、対応の原則等についての講義を行いますとともに、自閉症、脳性麻痩、ダウン症などの方が受診した複数の事例について、小グルーフで討議する症例検討を行っているところでございます。
また、実習につきましては、実際に障がいのある方の歯科診療の場に立ち会ったり、発達障がい児等が歯科受診した際のビデオの視聴などを行っているところであります。
このような研修プログラムによりまして、受講者が障がいのある方への歯科診療を行う際の意思疎通の促進や安全確保のための手だて等について、修得してもらうこととしているところでございます。

○花崎委員
新たに協力医として指定を受けたり、5年ごとに指定を更新していくことも、簡単ではないことが理解できました。
しかし、障がいのある方にも、健常者と変わらない歯科医療サービスを提供していくためには、協力医の質の確保も重要であり、指定のためには一定の条件を課すのも、障がいのある方々のニーズに応えていくためには妥当なことと思います。
多くの県で、障がい者の歯科治療や相談に対応できる歯科医師の確保に向けた取り組みがなされているようではありますが、協力医の更新制度を設けているのは、道外には例がなく、北海道だけと伺っており、先進的な取り組みとして評価できると考えます。
協力医の指定には一定の要件を課していますので、数が急速にふえることは難しいとは思いますが、できるだけ多くの地域に協力医が確保できるよう努めていただくとともに、今後も研修や協力医指定の更新制度は継続し、質の確保にも配慮していただくことをお願いしておきます。
今回、平成24年度の歯・口腔の健康づくり施策の中から、虫歯予防のためのフッ化物洗口普及と障がい者歯科医療協力医制度について伺ってきました。
今後は、本年4月から施行された、2期目となる北海道歯科保健医療推進計画に基づき、各種の歯・口腔の健康づくり施策を推進していくという説明がありました。
本計画は、条例にもあるとおり道民の生涯にわたる歯・口腔の健康づくりの施策を進める上で、基本的方向性を示すものであり、この計画に沿って実効性のある対策が推進されることを期待しています。
そこで、最後の質問になりますが、本道における歯科保健医療対策の推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、部長にお伺いいたします。

○三井委員長
保健福祉部長高田久君。

○高田保健福祉部長
今後の取り組みについてでございますが、北海道歯科保健医療推進計画につきましては、本年4月から2期目に入っているところでございまして、乳幼児から高齢者までの各ライフステージに応じた施策のうち、フッ化物洗口の推進、認知症高齢者や障がい者への対応など、優先度の高いものを重点施策に位置づけまして、積極的に推進することとしているところでございます。
道といたしましては、実効性のある事業の展開を図るため、教育委員会、歯科医師会、医師会等で構成をいたします北海道歯科保健医療推進委員会において、新たな取り組みとして、毎年度、施策の進捗状況の評価を行うこととしておりますほか、これら関係団体と一層の連携を進め、全ての道民が住みなれた地域において、生涯を通じて必要な歯科保健サービスを受けることができますよう、歯・口腔の健康づくりに総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

○花崎委員
計画における四つの重点施策は、いずれもさまざまな関係団体や職種との連携がキーワードになっているように思います。
特に子どもたちの虫歯予防に効果が期待できるフッ化物洗口については、保健福祉部と道教委が連携を強め、今後、小中学校での導入が促進されるよう、市町村や市町村教育委員会等を牽引していただくことをお願いしておきます。
そのほかの施策につきましでも、道民の皆様の歯や口が健康になり、いつまでもおいしく食べることができるようー御答弁いただいたように各方面と連携協力し、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。