○花崎委員
私のほうから、原子力災害における医療機関、社会福祉施設の避難計画についてお伺いいたします。
原子力災害においては、道が策定した「北海道地域防災計画」における「原子力防災計画編」を基本として、道や関係町村、道警や消防など防災関係機関が総合的かつ計画的に対応し、住民等の安全を確保することとしております。

また、関係の泊村など13町村は、それぞれ「退避等措置計画」を策定し、特に幼稚園、学校、病院、福祉施設等の災害時要援護者関係施設の避難対策が迅速かつ円滑に実施できるよう体制の充実を図ることとしております。

基本的にはこれらの道や町村の防災計画によって、13 町村の全ての住民の方々を対象に万一の緊急事態に備えることとなりますが、特に傷病者、入院患者、高齢者、障がい者、子どもなど災害時要援護者に対しては、一般の災害とは相違する原子力災害の特殊性に鑑み、さらに十分な配慮を行うこととしております。
こうした配慮のもと、原子力災害時に医療機関や社会福祉施設の管理者は、道や市町村と連携し、避難経路、誘導方法のほか、医療の維持や関係機関との連携方法などを定めた避難計画を策定することが求められていると承知しております。

しかし、現時点で策定がなされていない状況ということでありますが、道は、万一の緊急事態、に備え、施設等に対してもしっかり準備させる役割があると思います。
避難計画の策定を早急に進める観点で、以下数点お伺いいたします。

最初に、他県における取り組み状況についてであります。避難計画には、放射線等に関する知識が必要など難しい問題もありますが、先駆例があるのであれば活用もできるのではないでしょうか。

原子力発電所を有する他県における取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。

○三井委員長
政策調整担当課長井之口淳治君。

○井之口政策調整担当課長
他県の取り組み状況についてでありますが、原子力発電所が立地している12県では、避難計画の策定支援のためのマニュアルについて、社会福祉施設用として作成済みが2県、作成中が1県、また、医療機関用として作成済みが1県、作成中がl県となっているところです。

他県のマニュアルでは、福島第一原発事故の事例を踏まえ、例えば、病院等において、搬送に伴うリスクを避けるため初期段階では屋内への退避を優先し、受け入れ体制が十分整った段階で避難を開始するといった、避難の基本的な考え方など参考となる事項もありますが、入院患者の避難手段や医療従事者の確保などについては盛り込まれていないところです。

こうした中、道といたしましては、9月上旬、国に対し、12県と連携して、医療機関等における避難計画の策定や医療従事者の確保に向けた具体的な支援体制等について、考え方を示すよう求めたところでごいます。

○花崎委員
ただいまの答弁では、道以外の12県においても、なかなか難しい面もあって、取り組みが進んでいないということであります。

原子力災害は、一般の地震等の災害とは違って特殊性があると考えます。

施設等での避難計画策定に当たり、入院患者や入所者など要援護者に対して具体的にどのような配慮が必要なのかお伺いいたします。

○井之口政策調整担当課長
要援護者に対する配慮についてでありますが、原子力災害では、放射線の放出という特有の事象によりその影響がすぐに五感で感じることができず、被曝の程度がみずから判断できないこと、重大な事故発生時においても、住民の健康に影響を与えるほどの放射線の放出はある程度の時間を経た後となるため、計画的な避難を行うことが可能であること、避難と屋内退避を組み合わせながら搬送に伴うリスクを避ける
ことが重要であることといった、自然災害とは異なる特性を有しております。

このため、医療機関や社会福祉施設において避難計画を策定するに当たっては、こうした特性を十分理解した上で、入院患者や入所者の体調や疾病の状態などに十分配慮した避難の手段や手順などについて定めておくことが重要と考えているところでごいます。

○花崎委員
放射線が目に見えないということもあり、避難のタイミングや搬送の方法は、やはり一般の災害とは対応が違うということを十分理解しておくことが必要だと考えます。

次に、社会福祉施設に関してお伺いいたします。
関係13町村には避難計画策定の対象となる154の施設があるということですが、介護老人福祉施設等の施設の種別ごとに、入所定員数や利用定員数はどうなっているのかお伺いいたします。

○三井委員長
施設運営指導課長長野幹広君。

○長野施設運営指導課長
社会福祉施設などの定員数についてでございますが、関係13町村における本年8月末現在の状況は、老人福祉法に基づく養護老人ホームなどの入所施設は2施設で定員46名、介護保険法に基づく介護老人福祉施設などの入所施設は17施設で定員1133名、デイサービスなどの通所・居住系サービス事業所は53事業所で定員921名となっております。

また、障害者総合支援法に基づく障害者支援施設は9施設で定員600名、生活介護事業所などの通所・居住系サービス事業所は40事業所で定員1058名、児童福祉法等に基づく児童養護施設は4施設で定員280名、保育所などの通所施設につきましては29施設で定員1564名となっており、その合計は154施設、定員合計で5602名となっているところでございます。

○花崎委員
入所施設だけでなく日中サービスを利用する方々も含めてということですが、定員数でおよそ5000人以上ということですので、支援を必要とされる方々が多くいらっしゃると感じています。

社会福祉施設が実効ある避難計画を策定するには、入所者や利用者が避難の際、避難先の確保、移動手段、介護職員の確保等において、あらかじめ地元町村と十分に協議し、実際の避難時には連携しなければなりません。
そういう意味では、今回、避難計画の策定を支援するための道のマニュアルについても、町村や施設において確実に理解される必要があると考えますが、どのように対応するのかお伺いいたします。

○三井委員長
地域福祉担当局長内海敏江君。

○内海地域福祉担当局長
避難計画策定に向けた対応についてでありますが、社会福祉施設の避難計画は、北海道地域防災計画・原子力防災計画編によりまして、施設の管理者が道や地元町村と連携し、入所者等の避難誘導体制に
配慮しながら策定することとされているところでございます。

このため、道といたしましては、原子力防災担当部局と社会福祉施設担当部局が連携し、今月中旬に13町村を対象としたマニュアル等の説明会を開催し、避難計画に盛り込む内容を初め、移動手段や避難先の確保などの連携方策につきまして、町村の理解の促進に努めてまいりたいと考えております。

さらに、施設の計画の策定状況を定期的に把握いたしますとともに、策定に当たっての課題につきまして各町村と連携し助言を行いますほか、必要に応じて、老人福祉施設協議会等の関係団体と課題解決に向けた協議をするなどいたしまして、計画の策定が円滑に進むよう支援を行ってまいりたいと考えております。

花崎委員
今後、まず、は町村ヘ説明がなされるとのことでありますが、避難の際に最も連携が必要となる町村へ確実に伝達するのは大切なことであります。
その上で、できるだけ早く施設に対し説明し、理解してもらうことが必要なので、しっかり取り組んでもらいたいと思っております。
次に、医療機関についてお伺いいたします。13町村には避難計画策定の対象となる医療機関が現在16あるということでありますが、日ごろ、どの程度入院患者がいるのか、医療機関のある場所とベッド数などについてお伺いいたします。

○三井委員長
医療薬務課長深山英寿君。

○深山医療薬務課長
医療機関についてでございますが、関係13町村には病院が5カ所、病床を有する診療所が11 カ所ございまして、町村別では岩内町に病院が1カ所、診療所が3カ所、蘭越町に病院がlカ所、診療所が1カ所、倶知安町に病院が1カ所、診療所が1カ所、余市町に病院が2カ所、診療所が2カ所となっておりまして、そのほか寿都町、ニセコ町、古平町、仁木町にそれぞれ診療所が1カ所あるところでございます。

16医療機関の病床数につきましては、一般病床553床、療養病床292床、精神科病床305床、感染症病床2床で合計1152床となっているところでございます。

また、本年9月1日現在の入院患者数につきましては、一般病床に363人、療養病床に186人、精神科病床に188人で合計737人となっているところでございます。

○花崎委員
福祉施設のほか病院にも多くの方々がいらっしゃる。
こうした方々の避難もしっかり考えておかなければならないと思っています。

道では、社会福祉施設に関しては、避難計画を策定するための独自のマニュアルを策定したということですが、一方、医療機関に関しては、重篤な患者の避難の考え方など難しい課題があるとしています。

具体的にどんな課題があって、国に対して、どのようなことを求めているのかお伺いいたします。

○三井委員長
医療政策局長田中宏之君。

○田中医療政策局長
国への働きかけなどについてでありますが、ただいま担当課長から御答弁いたしましたとおり、8町村16医療機関におきましては、一般病床のみならず療養及び精神病床を有している医療機関もござ、いますことから、避難計画の策定に当たっては、重篤患者への対応を初め、患者の疾病状態に応じた避難先や避難手段の確保、医療従事者の確保などさまざまな課題があるものと考えているところでございます。

こうした課題に対する対応策を検討する際には、原子力防災に特有の専門的知見が求められますことから、国に対して、避難計画のマニュアルの整備や具体的な支援体制などにつきまして、早急に考え方を示すよう働きかけているところでございます。

○花崎委員
重篤な患者さんのほかにも療養病床や精神病床もあるということであります。
実際の避難はなかなか難しいということは容易に想定されますが、それでも全員を安全に避難させるため、準備をしていくことが必要であると考えます。

それでは最後の質問になります。
医療機関や社会福祉施設における避難計画に関して伺ってきました。
こうした避難計画の策定は、ただつくればよいということではなく、万ーに備えて実効性のある計画でなければならないと考えます。

今後の対応についてでありますが、多くの課題も残されておりますが、道民の命にかかわることであり、スピード感を持ち、課題を一つずつクリアしていくことが必要であります。

施設等における避難計画の策定に向け、道としての今後の対応と決意をお伺いして私の質問を終わります。

○三井委員長
保健福祉部長高田久君。

○高田保健福祉部長
今後の対応についてでございますが、国では、原子力発電所が立地する13道県の要請を受け、内閣府を初め関係省庁や道府県の担当者で構成いたしますワーキングチームを設置し、避難計画の策定などについてi自治体のみでは解決が困難な対策等の検討を開始したところでございます。

道といたしましては、既に関係町村に社会福祉施設用のマニュアルを配付したところであり、早急に施設等へ配付、説明し、策定を働きかけますとともに、医療機関につきましては、国による検討の場などを通じて、重篤な入院患者の避難対応などに関する国の考え方や支援策などの動向を把握しつつ、他県の取り組みも参考にして、年内をめどにマニュアルの検討を進めるなど、今後、関係町村と連携をいたしまして、できるだけ早い時期に避難計画が策定されるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。