○花崎委員
私のほうから、成年後見制度利用支援事業について幾つかお伺いいたします。
成年後見制度については、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって物事を判断する能力が十分でない方に対し、本人の権利を守る後見人等を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度として、平成12年4月に施行されております。

制度を利用する方が年々増加する傾向にある一方で、制度を利用したくても資産もなく申立人のいない利用者に対する支援が課題となっております。

知的障がい者や精神障がい者については、現在、障害者総合支援法に基づく市町村地域生活支援事業の成年後見制度利用支援事業において、低所得者等に対し申し立てにかかる経費や後見人等の報酬への助成が行われているところでありますが、先日の北海道新聞に掲載された記事でも明らかとなっており、その制度が十分に市町村において生かされていないといった状況であります。

そこで、この成年後見制度利用支援事業について、何点かお伺いします。

まず初めに、成年後見制度を利用した場合の障がい者に対する助成制度については、平成14年に介護保険制度の介護予防・地域支え合い事業において知的障がい者がその対象となりましたが、その後、平成18年に障害者自立支援法の施行により、新たに精神障がい者を加えた市町村地域生活支援事業の成年後見制度利用支援事業として実施することになったと承知しております。
その後も対象者の要件についても大きな改正が実施されたと承知しておりますが、改めて、この成年後見制度利用支援事業とはどのようなものなのか、事業内容についてお伺いいたします。

○三井委員長
障がい者保健福祉課長湯谷隆博君。

○湯谷障がい者保健福祉課長
成年後見制度利用支援事業の事業内容についてでございますが、この事業は、障害者総合支援法第77条に位置づけられた市町村地域生活支援事業のうちの必須事業の一つであり、成年後見制度の利用を支援することにより、知的障がいや精神障がいのある方々の権利擁護を図ることを目的とするものでございます。

具体的には、助成を受けなければ成年後見制度を利用することが困難な方に対し、登記手数料など申し立てに要する費用や後見人の報酬等の経費を助成するものでございます。

以上でございます。

○花崎委員
次に、事業実績についてお伺いいたします。成年後見制度利用支援事業については、助成を受けなければ制度が利用できない知的障がい者や精神障がい者に対し後見人等の報酬などの助成を行う、市町村が行うべき必須事業であるとのことでありますが、新聞報道ではお市町村において要綱が整備されていないと報じられております。

成年後見制度利用支援事業の実績はどのようになっているのかお伺いいたします。

○湯谷障がい者保健福祉課長
本事業の実績についてでございますが、政令市である札幌市、また中核市である旭川市、函館市を除く道管轄の176市町村のうち、平成24年度は11市町村で助成を行っており、申し立て費用に対する助成が19件、後見人等の報酬に対する助成が8件となっているところでございます。

なお、平成25年度につきましでは、現在、実績を取りまとめているところでございますが、道に対して本事業の補助の交付申請を行っているのは、77市町村となっているところでございます。以上でございます。

○花崎委員
ただいま、平成24年度で11市町村、平成25年度は申請ベースではありますが77市町村で利用支援事業を実施する予定とのお答えでありましたが、この事業が市町村地域生活支援事業の必須事業であるにもかかわらず、先ほど申し上げましたとおり要綱すらも整備していない市町村があったり、さらに、平成20年に国の実施要綱において、市町村長による申し立て要件が外され対象者が拡大されているにもかかわらず、市町村長の申し立てのみを対象としているなど、国の要綱に準じていない市町村もあります。

市町村における要綱の整備状況はどのようになっているのかお伺いいたします。

○湯谷障がい者保健福祉課長
市町村における要綱の整備状況についてでございますが、平成25年9月末現在、要綱を整備している市町村は136市町村となっているところでございます。

また、国の要綱に準じず助成対象経費を申し立てに要する経費または後見人等への報酬のいずれかに限定するなどしている市町村が10市町村あるところでございます。以上でございます。

○花崎委員
質問は最後になりますが、成年後見制度の利用者が年々ふえてきている中にあって、要綱が整備されていないということは、制度の周知が十分なされていないことにもなります。

障がい者の権利を守るとともに地域生活を支援するためには、利用支援事業も含め成年後見制度を積極的に活用する必要がありますが、道として、今後市町村に対しどのように対応していくお考えか、お伺いいたします。

○三井委員長
保健福祉部長高田久君。

○高田保健福祉部長
今後の対応についてでございますが、成年後見制度利用支援事業が平成24年4月の障害者自立支援法の改正により必須となりましたことから、道では、各市町村が速やかに本事業を実施できるよう、生活支援や金銭管理などの事例紹介のほか、実施要綱の参考事例などもお示しをし、支援に努めてきたところでございます。

道といたしましては、本事業の実施状況や課題、今後の利用見込みなどにつきまして、早急に市町村調査を実施いたしますとともに、全ての市町村で要綱が整備され、本事業が適切に実施されるよう、21 圏域に設置をしております障がい福祉計画等圏域連絡協議会を活用するなど、市町村に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○花崎委員
成年後見制度利用支援事業についてお伺いをしてまいりましたが、いずれにいたしましでも、障がいのある方がどこに住んでいても等しく成年後見制度を利用できることは、障がい者の権利を守り地域生活を支援していく上で、何よりも重要であると考えます。

そうした意味で、市町村での実施が必須とされている成年後見制度利用支援事業が、要綱の整備なども含め適切に実施されるよう、道として、市町村に対する積極的な働きかけをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。